今こそ奮い立つ男の物語(4) - インタビュー 聞き手 編集部T子 –
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現代日本に必要な“オチンチン力”
T子 今日、三田さんのお話を聞いて、人間の成り立ちのド真ん中に焦点が当たっていて、ありそうで意外にない主張だなと感じました。私の息子がいま10歳ですが、母親として、最近彼の自立を意識するようになりました。もともと元気があり過ぎて、先生の言うことも聞かないし、なんでも自己流でやってしまうし、学校や塾では怒られてばかり。親の私まで先生に怒られるとさすがに参って、色んな教育書を読んでみたところ、ちょうど三田さんの主張に似たことが書いてある本に出会って、救われたところでした(笑)
三田 どんな本ですか?
T子 松永暢史さんの『男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)という本です。元気いっぱいの男子の力、三田さん流に言うと「S力」を松永氏は、「オチンチン力」と呼んでいます(笑)。この力こそが日本の未来を強く、逞しくする根源的な要素であると言っているんです。勉強ができることよりも、オチンチン力をいかに開放し、伸ばしてあげるかが母親の役割だと。いくらガリ勉しても、一流の大学や企業に入ったとしても、オチンチン力がなければお嫁さんももらえない、当然、子孫も繁栄させられないって(笑)。それじゃ男子として生まれてきても仕方ないじゃないかって。少々極論ではありますが、読んで頭がスッキリしたんです。だいぶ重版もされていますから、共感する人も多いのでしょう。
三田 子供の頃からの成功体験は大事だと思います。くだらないことでもいいから自分の意志で動いて、他者からの承認を得たという実感の積み重ねが、成長してからの男の力に結びつきます。捕まえてきた獲物を見せびらかして、すごいねって言われた回数とか(笑)。「やったね」っていう感覚が、すごく大事。そうすると自信がついて、オチンチン力がついていく。
今日話したようなことは、もし共感を得られる女性がいたらこういう主張の人間がいるって知ってもらいたいというか。そして矛盾していそうなんですが、実は男性にはこの話に影響を受けて欲しくないんですよ(笑)。外で拾ったよく分からない考えではなく、結局最後は自力で独自の思想や願望、生きていく活路を見出さなきゃいけない。初めは誰しも大いなる何かに抱かれながら生きていても、いつかはそれを見つけて自発的に一人で立ち上がれないのであれば、運命を自力で書き換えようとする男ではなく、自覚なく運命に翻弄されるだけの無力な少年なんだと思います。
T子 個展ではそうした作品を見られるのが楽しみですね。頑張ってください!今日はありがとうございました。
(9月4日/編集部にて)
~手足が捥げ、たとえ首だけになっても前に進むことを諦めなかった者に祝福を~
アートコレクターズ2018年1月号掲載記事より一部抜粋