Work
Exhibition
SANDA takahiro
- 1980愛知県名古屋市に生まれる
- 2002東京芸術大学美術学部日本画科 入学
- 2008日本画第三研究室 源氏物語絵巻模写事業参加(夕霧 絵・詞)
- 2011東京芸術大学美術学部日本画博士後期課程 修了
- 2011美術博士号取得
- 2011修了作品芸大美術館買い上げ
- 2011松坂屋美術画廊(名古屋・上野)にて個展
- 2014ギャラリー小暮(神保町)にて個展
- 2018松坂屋美術画廊(名古屋・上野)にて個展
Statement
現代日本に生きる私たちの前に漠然と横たわる現実。
様々な側面を持つ現実に対し、自身にとって切実な一側面に焦点を当てることが私の制作の意味です。
かつて戦後からの右肩上がりの好景気を背景にした希望観は失われ、今では停滞から緩やかな衰退の気配に漠然とした生きる不安に包まれる者は多いでしょう。
そんな中、現代の実情として多くの男性は、様々な社会的不安や身体的ディスアドバンテージという現実に打ちひしがれ膝をつき、そんな弱い自分を許し受け入れてくれる女の出現を願う傾向が強まり、
対して女性は、テクノロジーの進歩や労働環境の変化によって社会進出を進め、社会的地位の向上やかつてより収入が増えたことで自分磨きも盛んになり、自信の獲得につながったことでより自信にあふれた頼もしい男の出現を願う傾向にあります。
主なこうした現実をふまえて問題になるのが、男女のマッチングの減少であると考えます。
多数の男性は自信の喪失によって、おのずと自分より弱い女性を欲求しますが、社会にはあまりそうした相手が都合よくはいません。豊かになった女性たちは一般的に自分より頼れる男を求めており、そうした女性から突き付けられる現実はなかなかに厳しいものです。
男性によってはそうした現実に絶望し、幼い少女や物言わぬ仮想の女性やキャラクターに<女神>を見出し、心を委ねる選択をする者も現代では少なくありません。
対して、少数ではありますが社会において能力を発揮し、成功体験を積み重ね、万能感に満ちた自信を発揮する男性もいます。
こうしたごく少数の男性が多数の女性の尊敬や愛を集めるのは必然となります。なぜなら女性は格下の男に魅力を感じることは稀なためです。対して、恋愛市場に参加できない自信を持たない多くの男たちは、黙々と個室で現実逃避に勤しみ、緩やかに滅びていくだけの存在です。
現日本国内の一般的な結婚制度においては、一夫一婦制なので、おのずと多数の魅力的な女性も理想的な男性とマッチングの困難に直面し、未婚または妥協婚という選択は少なくありません。
しかしこれでいいのでしょうか。
この事態を一変させる眠れる獅子がいるとすれば、それは現実逃避に勤しむ彼らであると私は考えます。
彼らの抱えるネガティブな現実は自身の主観として重く忌まわしいものかもしれませんが、その辛い現実を引き受けながらも、そのうえでたとえ小さくとも夢を語り、夢の実現に至る正しい努力と行動が実践できれば、その姿勢こそが魅力となり、これまで厳しかった女性たちの中にはそんな自分を受け入れてくれる愛情と優しさを発揮してくれる、いわば<女神>も現実に現れるのではないでしょうか。
この<女神>の出現をテーマに、負い目のある男性の奮い立つ物語を骨格にした制作物が私の作品です。
Voice
意識の整理を目的とし、テキストにまとめています。